はじめて株式会社を作る際、何を準備してどのように進めていけば混乱しますよね。
そこで当記事は、株式会社の作り方について、2023年7月に私自身が会社設立した際の経験談もふまえてご紹介します。
株式会社設立までの期間は、準備から登記完了まで合わせて2〜3週間が目安です。
株式会社設立時にかかる費用一覧

種類 | 料金 |
---|---|
登録免許税 | 150,000円 (特定創業支援の利用で半額可) |
法人用印鑑代 | 2,000円〜 |
定款認証代 | 30,000〜50,000円 (資本金による) |
定款印紙代 | 40,000円 (電子定款の場合は不要) |
定款謄本代 | 約2,000円 |
合計 | 約15〜25万円(目安) |
会社設立代行サービスを利用する場合は、別途必要。
株式会社設立に必要なもの一覧

- 法人用実印
- 定款
- 印鑑証明書1通(発起人全員の3ヶ月以内に発行されたもの)
- 発起人全員の実印
- 資本金払い込み証明書
- 株式会社設立登記申請書
- 発起人決定書
- 就任承諾書
- 印鑑届出書
- 委任状(代理人が申請する場合)
株式会社の作り方7ステップ

- 特定創業支援を受ける準備をする(※該当者のみ)
- 設立する会社情報を決める
- 法人用の印鑑(実印)を作成する
- 定款を作成する
- 公証役場で定款の認証を受ける
- 資本金を払い込む
- 登記申請書類を用意し法務局で申請する
詳しく解説します。
ステップ1:特定創業支援を受ける準備をする(※該当者のみ)

- 登録免許税が半額になる
- 条件あり
特定創業支援等事業は、各市町村「創業支援等事業計画」に定められた、創業希望者に対して実施する支援事業の一つです。
メリットは下のとおり。
- 株式会社設立時の登録免許税が軽減
- 創業関連保証の特例
- 日本政策金融公庫の融資制度の優遇
など
なかでも、株式会社設立時に使えるのが「登録免許税の軽減」です。
費用が半額になります。
株式会社を設立する際の登録免許税が半額になる
具体的には、資本金の0.7%から0.35%へ軽減されます。(例:株式会社最低税額15万円⇒7.5万円)
新規創業の方や創業後5年未満の方が受けられるので、該当する場合は準備を行いましょう。
各市町村で細かい条件が異なるので、創業しようとする住所の市町村役場のホームページで検索してみてください。
「〇〇市 創業支援」と検索すると情報が出てきます。
ステップ2:設立する会社情報を決める

会社の設立には、最初に決めなければいけないことがあります。
ステップ4で解説する「定款(ていかん)作成」で記載が必要なものです。
まずは以下の8つを決めましょう。
- 会社形態
- 会社名(商号)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金
- 会社設立日
- 会計年度
- 役員や株主の構成
会社形態
「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類から選択します。
当記事では、株式会社の作り方なので、各会社形態の特徴は割愛します。
もし、株式会社以外を選択する場合は、こちらの記事をご参考ください。
会社名(商号)
会社名は、何でもいいわけではありません。
- 同じ住所に同じ会社名は使用できない
- 絵文字や★などの記号は使用できない
など、一定のルールがあります。
会社名を自分で決めるのが苦手な場合は、クラウドワークスなどで募集をしたり、会社名の画数判断サービスを利用して決めてもいいでしょう。
事業目的
会社が行う事業の範囲を決めます。
事業目的は定款に記載しますが、定款に書かれていない事業は原則として行えません。
そのため、実際に行う事業だけでなく、将来的にやりたい事業を含めて記載しておくといいでしょう。(定款に事業目的を追加する場合は、別途費用がかかるので)
事業目的の目安数
特に制限はありません。
ただし、一貫性がないと銀行の融資などで影響する可能性があるため、きちんと説明できるように整えておくことをおすすめします。
本店所在地
会社の本拠地となる住所を決めます。
自宅やマンションの一室、バーチャルオフィスを本店所在地にできます。
私の経営者仲間には下のような方々がいます。
- 東京の格安アパートの一室(家賃1万円)を借りて本店所在地として登記
- ボロ戸建てを5万円で購入して本店所在地として登記
自宅の住所を利用する際の注意点
会社名と住所が色んなところに公開されます。
プライバシーが気になる場合は、自宅以外の住所にしましょう。
賃貸物件の住所を利用する際の注意点
賃貸は「法人登記不可」としている場合もあるため、事前に大家さんや管理会社に確認しておきましょう。
バーチャルオフィスを利用する際の注意点
銀行口座の審査に落ちたり、融資が受けづらかったりします。
資本金
最低額が定められていないため、1円から決められます。
しかし、あまりにも少額な場合、社会的信用度に影響するので、少なくとも数十万円あるといいでしょう。
会社設立日
法務局に会社設立の登記申請をした日が会社設立日となります。
会社設立日は、一粒万倍日などの開運日を気にする方もいると思います。
もし、設立日を特定の日にしたい場合は、登記申請する日から逆算して、準備を進めましょう。
会社設立日を特定の日にする際の注意点
法務局は年末年始や土日祝が休業日のため、会社設立日にできません。
会社設立日にしたい日が年末年始や土日祝ではないかどうか事前にチェック必須です。
会計年度
多くの企業が4月1日から翌年3月31日までの期間を会計年度としています。
ただし、決算月が会社の繁忙期と重なると大変なので、なるべく繁忙期は避けた方が無難です。
自由に設定できますが、設立時に決める必要があります。
役員や株主の構成
原則として最低1名以上の取締役が必要です。
あなたが社長として1人で経営していく場合は、あなただけで問題ありません。
株式会社の場合は、設立時に株主名簿の添付も必要。
ステップ3:法人用の印鑑(実印)を作成する

- 費用:約2,000円〜
- 作成期間:3日〜7日程度
会社設立の手続き前に、法人用の印鑑を作成します。
作成に時間がかかり、会社設立の手続きに必要なので、会社名(商号)を決めたらすぐに作成しましょう。
会社で使う印鑑は下の3種類です。
- 実印
- 銀行印
- 角印
3種類全て作成しておきましょう。
実印
会社設立の手続きの際など、会社の重要な場面で使うものです。
丸い形状です。
銀行印
銀行とのやり取りで使います。
丸い形状です。
角印
請求書や納品書など、通常業務に使うものです。
正方形の形状です。
ネットで購入するのが安くておすすめ
ネットで販売している業者に作成してもらうのが安くて早いです。
弊社もネットで購入しました。
3種類セットで販売されており、素材の種類もたくさん選べます。
こだわりがなければ、2,000円ほどで購入できます。
>> 法人用印鑑作成でおすすめの業者
ステップ4:定款を作成する

- 電子定款にすると4万円お得
会社設立には、定款(ていかん)の作成が必要です。
定款とは、会社の目的や事業内容、役員の任期などを記載した書類です。
定款の作成方法は、インターネットで検索すると、書き方サンプルや無料ダウンロードできるテンプレートもあります。
それらを参考に自分で作成できますが、必ず記載しなければならない事項に記載漏れがあると、定款自体が無効となるので注意が必要です。
そのため、初めての会社設立の場合は、代行業者やfreeeなどのサービスを利用して作成するのがおすすめです。
また、紙定款と電子定款どちらにするか決めておきましょう。(おすすめは電子定款)
紙定款と電子定款の比較表
紙定款 | 電子定款 | |
定款作成代 (自分で作成する場合) | 0円 | |
収入印紙代 | 4万円 | 0円 |
定款認証代 | 30,000〜50,000円 (資本金による) | |
謄本代 | 約2,000円 | |
作成完了までの期間 | 最短即日 | 約1週間 |
メリット | 時間がかからない | 収入印紙代が不要 |
デメリット | 収入印紙代が必要 | 時間がかかる |
電子定款にして定款印紙代を4万円節約する方法
電子定款にすると、費用が安くなります。
電子定款は以下3つの方法で作成可能です。
方法1:会社設立代行業者を利用する
1万円以下で必要書類の作成や電子定款の作成をしてくれます。
定款印紙代4万円が節約できるので、実質約3万円安くなります。
安くて楽です。
方法2:freee会社設立などのネットサービスを利用する
例えば、freeeでは会計ソフトを契約すると、定款作成代が無料になります。
会社設立後は、会計ソフトの導入が必要なので、freeeなどを利用するとお得です。
方法3:自分で電子定款を作る
Wordなどで作成してPDF化します。
その際、PDFファイルへの電子署名が必要です。
PDFファイルへの電子署名は、ICカードリーダライタやAdobeなどの専用機器、専用ソフトを利用します。
そのため、専用機器やソフトを持っていない場合は、新たに購入が必要です。
ステップ5:公証役場で定款の認証手続きをする(定款を受け取る)

- 定款:3部
- 発起人全員の3ヶ月以内に発行された印鑑登録証明書:各1通
- 発起人全員の実印
- 定款認証代:30,000〜50,000円(資本金額によって異なる)
- 謄本代:約2,000円
- 収入印紙代:40,000円(電子定款でない場合)
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 実質的支配者となるべき者の申告書
公証役場に必要書類を持っていき、手続きを行います。
紙定款の場合は、定款の認証手続きをします。
電子定款の場合は、定款を受け取ります。
認証手続きや定款の受け取りは予約制です。
事前に本店所在地がある公証役場に連絡して、日時を決めてから訪問します。
資本金別の定款認証手数料
定款認証の費用は、資本金によって変動します。(謄本代は変動なし)
下のとおりです。
資本金 | 費用 |
100万円未満 | 32,000円 |
100万円以上300万円未満 | 42,000円 |
300万円以上 | 52,000円 |
ステップ6:資本金を払い込む

資本金を、発起人どなたかお一人の個人口座に振り込みます。
例えば、みずほ銀行の個人口座から住信SBIネット銀行の個人口座にネットバンクを利用しても構いません。
新規口座を作る必要はありません。
なお、資本金を振り込んだら「払い込み証明書」を作成しましょう。
資本金払い込みの具体例
- NG例:元々の残高+払い込み金額=資本金額
- OK例:払い込み金額=資本金額
資本金払い込み前に、通帳残高が資本金額を超えている場合は、資本金額を一度出金してから、再度資本金額を入金しましょう。
資本金払い込み証明書の作り方
通帳がある場合
- 払込証明書
- 通帳表紙のコピー
- 通帳表紙裏のコピー(通帳の1〜2ページ目)
- 通帳コピー(振り込んだ資本金額が記載されているページ)
上記を印刷してホッチキスで留めます。
通帳がない場合
インターネットバンキングを利用している場合は、通帳がないと思います。
その場合は、以下の必要情報が確認できる箇所をスクリーンショットして印刷しましょう。
- 銀行名、支店名、預金種別、口座番号
- 口座名義人
- 資本金の入金額と日付
注意点
振り込んだ資本金は、法務局の登記完了まで引き出さないようにしてください。
法務局で登記完了後は、自由に引き出して、事業に使用できます。
ステップ7:登記申請書類を用意し法務局で申請する

法務局に書類を提出し会社設立の申請をします。(郵送可)
その際、登録免許税代の15万円の印紙が必要です。(特定創業支援を利用する場合は7.5万円)
法務局が書類を受け取った日が「会社設立日」となります。(平日のみ)
書類提出後、約1週間で登記完了
登記完了は、法務局へ書類を提出した約1週間後です。
ただし、混雑状況により多少誤差が発生し、私は12日かかりました。
書類提出時に、登記完了日を教えてもらえます。
登記完了後に再度法務局へ行く
登記完了後は、再度法務局へ行き、印鑑カードの発行や登記簿謄本・印鑑証明書の発行をしましょう。
新会社の銀行口座の開設などで利用するため、余分に発行しておくことをおすすめします。(目安各3枚)
その後:新会社の銀行口座の開設や各種届け出
登記簿謄本・印鑑証明書を発行したら、新会社の銀行口座の開設や税務署や役所へ各種届け出をしましょう。
後回しにすると忘れてしまうので、できるだけ早めに一気に片付けることをおすすめします。
登記完了後の主な手続き一覧
手続き場所 | 内容 |
銀行 | 法人用の銀行口座開設 |
本店住所管轄の税務署 | 法人設立届出書 |
青色申告の承認申請書 | |
給与支払事務所等の開設届出書 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | |
都道府県税事務所 | 法人設立届出書 |
市町村役場の法人税務課 | 法人設立届出書 |
日本年金機構 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届出書 |
労働基準監督署 | 労働保険の保険関係成立届 |
労働保険概算保険料申告書 | |
ハローワーク | 適用事業所設置届 |
デジタル庁 | GビズID |
jGrants |
まとめ:株式会社設立は代行サービスを利用して安く早く済ませよう
株好き会社の設立は自分でもできますが、代行サービスを利用するのが安くて早いです。
私が会社設立前に、数多のサービスを比較検討しましたが、下の2つが特におすすめです。
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